コラム
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ジャマイカのレゲエ音楽とユネスコ無形文化遺産 2018年の登録の経緯
ジャマイカで生まれたレゲエ音楽は、2018年11月29日に、ユネスコの「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に記載されました。ここでは、ジャマイカ政府の広報機関であるジャマイカ情報サービス(JIS)の記事をもとに、登録が決まった会合の様子と、レゲエが生まれるまでの音楽の流れを整理します。ユネスコの審査の中身や登録の基準の細かな説明は、ここで使った記事の範囲を超えるので扱いません。
2018年、モーリシャスでの決定
JIS が載せた文化・ジェンダー・娯楽・スポーツ省の発表によると、登録はモーリシャス共和国で開かれた、無形文化遺産の保護のためのユネスコ政府間委員会の第13回会合で決まりました。発表の発信地はモーリシャスのポートルイスで、日付は2018年11月29日です。ジャマイカ政府は、オリビア・グランジ文化相を先頭に、登録を強く働きかけていたと書かれています。
評価機関の勧告と委員国の支持
ユネスコの評価機関は、ジャマイカの推薦を2年後の次の審査に回すよう勧告していました。グランジ文化相は、その勧告を受け入れずにモーリシャスへ出向き、自国の立場を説明することにしたと語っています。ジャマイカの案件が議場に出されると、委員会の23の委員国がそろって支持を表明し、評価機関が示した懸念について説明するよう、ジャマイカの代表団に発言を求めました。代表団の説明のあと、各国の代表が支持を示し、会場は喜びに包まれたと伝えられています。グランジ文化相は、登録を祝って、ボブ・マーリーの「One Love」を会場の人々と一緒に歌いました。
登録を支えた人たち
文化相は、登録を音楽界と政府が力を合わせた成果だと述べ、関わった人や機関の名を挙げています。音楽界からは、クリス・ブラックウェルとユニバーサル・ミュージックのチーム、そしてマーリーの音楽と肖像の使用を認めたセデラ・マーリーとボブ・マーリー財団の名が挙がっています。政府の側では、外務・貿易省、文化省とその関係機関が挙げられ、中でもユネスコのジャマイカ国内委員会と、アフリカ・カリブ研究所の名が特に記されています。
「ジャマイカのレゲエ音楽」という名前
2019年1月20日に開かれたレゲエ月間の合同発表の場で、グランジ文化相は、登録の名前についての経緯を振り返っています。ほかの場所にもレゲエがあるかのように読める「ジャマイカから来たレゲエ音楽」という言い方ではなく、「ジャマイカのレゲエ音楽」とすることを求めたと語っています。
登録のあとの動き
ジャマイカから2つ目の登録
2018年の発表の時点で、レゲエは、2008年の「ムーアタウンのマルーンの遺産」に続き、ジャマイカから代表的な一覧表に載った2つ目の要素になりました。2020年12月16日の JIS の記事によると、代表的な一覧表は、国々の文化遺産の多様さを示す要素を載せ、その大切さへの理解を広げるためのものです。同じ記事によると、ジャマイカは2018年に政府間委員会の委員国に選ばれ、2022年まで務めることになっていました。グランジ文化相は、オンラインで開かれた第15回会合の議長を務め、ジャマイカはほかの要素の登録も目指していくと述べています。この会合について文化相は、新型コロナウイルスの流行という難しい状況でも、無形文化遺産を守る仕事は急ぐべき大切なものだとして、開催を続けたと語っています。
レゲエが生まれるまでの音楽の流れ
JIS の「ジャマイカの音楽の遺産」のページは、ジャマイカで最初の大衆音楽の形をメントとしています。メントはプランテーションの時代に生まれて1950年代まで広く親しまれ、アフリカとイギリスの影響が溶け合ってできた音楽だと説明されています。レゲエの前身とされるスカは、1960年代の初めに、故ドン・ドラモンドとスカタライツによって広まりました。スカは、北アメリカのリズム・アンド・ブルースをジャマイカ風にしたものと評されてきた、とページは書いています。
続くロックステディは、スカよりテンポの遅い音楽で、テンポが落ちたことで、演奏者はより複雑な旋律を自由に試せるようになりました。電子楽器が広く使われるようになると、管楽器に代わってギターがリズムとソロを受け持ち、ベースの動きもより複雑で旋律的になったと説明されています。ロックステディの時代は長くは続かず、1960年代の終わりには、レゲエとして知られるジャンルが生まれました。レゲエは、重く、くり返されることの多いベースを特徴とし、スカやロックステディと同じように、政治・宗教・社会についてのメッセージを込めた歌が多いと書かれています。
ページが挙げる歌い手たち
1981年に亡くなったボブ・マーリーは、レゲエの発展への貢献によってメリット勲章を受けたと紹介されています。ほかの人気の歌い手としては、トゥーツ・アンド・ザ・メイタルズ、サード・ワールド、ジミー・クリフ、ユー・ロイ、ベレス・ハモンド、デニス・ブラウンの名が並んでいます。
毎年2月のレゲエ月間
ジャマイカでは毎年2月がレゲエ月間とされ、グランジ文化相は2019年の発表で、音楽を守る取り組みは2008年にレゲエ月間が設けられたときに始まったと述べています。2025年のレゲエ月間は「Come Ketch di Riddim」をテーマに、2月1日から28日まで行われました。その期間の礼拝で文化相は、ダンスホールやダンスホール・ゴスペルなどを含むあらゆる形のレゲエが、ジャマイカと世界をつなぐ力であり続けていると語り、登録の日付が2018年11月29日だったことにも触れています。
まとめ
レゲエは、2018年11月にモーリシャスで開かれたユネスコ政府間委員会の会合で、人類の無形文化遺産の代表的な一覧表に記載されました。JIS の記事からは、評価機関が先送りを勧めた中で、委員国の支持を得て登録に至った経緯や、「ジャマイカのレゲエ音楽」という名前へのこだわりが読み取れます。メントからスカ、ロックステディを経てレゲエに至る流れを知っておくと、登録の意味もつかみやすくなります。
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参考にした資料
各ページの内容は、2026年10月13日に確かめたものです。
- ジャマイカ情報サービス(JIS)「Minister Grange Leads Successful Inscription of Reggae on Intangible Cultural Heritage of Humanity List」(英語)
- 同「Jamaica Will Pursue Inscription Of Other Elements To UNESCO Intangible Cultural Heritage List」(英語)
- 同「Several Activities Planned for Reggae Month」(英語)
- 同「Reggae Music Connects Jamaica to the Global Community」(英語)
- 同「Jamaica’s Heritage in Music」(英語)